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価値観

04 26 *2024 | SubRosa関連

色々やるやる詐欺になってる……(汗)
短編繋げ直す前にちょっとやること色々あって、そこに時間かかってます。
すぐ繋げられそうだったので、薫のSS【鏡】を拍手に置いてきました。

一つの物語を区切りの良いところまで書く時は大体いつも短期間で書くことが多いです。
何故かというと、時間が経つと感覚と雰囲気が変わってしまう。
2007年後半くらいからは書き方自体は安定していてあまり変わってはいないのですが、花影恋歌と華水の月の四部あたりを比べるだけでもかなり違います。
中でも何が一番厄介って、価値観が変わってしまうことだと思ってました。

完結したものは良いとして、華水の月を書いてたのは泉と同じ年頃の時だったので、果たしてその時の価値観と今の価値観は合うのか?
合わなければ、続き書けないよなぁって思ってたんですよ。
とりあえずプロットと公開中のラスト周辺を何話か掻い摘んで読んでみた時に、あ、大丈夫だわ私。変わってないわ。と痛感しました……。
全然成長してないのか、はたまた人間ってやっぱそう簡単に変われないってことなのか。
データが飛んだので残ってはいないのですけど、一応昔完結まで書き上げたときと今と、同じ感じで話が運ぶと思いました。

ただ、当時書いていた頃よりも、今の方が分かることもあります。
華水の月のテーマは、『信じるということ』、なのですが、この難しさを経験を通してもう一回考えさせられました。
私は自分では、登場人物でいうところの麻里か泉タイプだと思っていたのですが、実際信じるということを試される苦境に立たされた時、自分がとった行動は薫と同じでした。
連載当時、私は泉贔屓を公言していたので、よく泉より薫を幸せにして下さい、というコメントを頂いていて。
泉は華水の月の主人公なので、どうしても思い入れが深くなるのは仕方ないんですが、作者からすると、薫は余裕があってブレない人なので、ある意味一番信頼しているというか、同情心がなかったんです。
でもそうではなくて、一番自己投影している人物だから、一番欲目がなかったのかもしれません。
もちろん全部が全部同じではないですけど、広すぎる許容範囲とか情の深さとか弱味を見せないところなんかは通ずるものがあります。
そのせいで自分が本当に辛い思いをしたので、今は薫の気持ちが手に取るようにわかる気がします。
よく、薫は分かりづらいとか理解が難しいと言われたりするんですけど、私にはそれが全く理解できなくて、その理由も自分と同じだからか、と思うと合点がいきます。
だとしたら、薫の愛は美緒には伝わりにくいのかなぁ。
このタイプは本当にしんどいです。愛情表現が自然すぎて伝わりにくいのか、相手次第で大事にされもすれば、踏み躙られもするなと思います。傷つけても大丈夫と思われてしまうかも。
当時は私も、薫なら大丈夫でしょ、と色々背負わせてましたが、全然、そんなの全然大丈夫じゃないわ、というのが今ならわかる。
情の深さが業にならないように、救ってあげないといけないな、と思うわけです。
これは、昔の私にはなかった感覚です。
昔よりも今の方が、薫という人を大事に書ける気がします。
麻里はそんな薫を自分勝手に傷つけてしまったけど、美緒は薫の愛を踏みにじるような子ではないでしょう、きっと。

話は最初に戻って。
鏡と、あとMissingっていう薫のSSは、正直華水の月の本編に入れた方がいいんじゃないかと思う。
極端に少ない薫視点の話なので、分かりにくいと言われる薫を理解できる数少ない話な気がする。

21:37